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問い合わせフォームの 会社情報は、聞かずに埋める。

フォームでは本人にしか分からないことだけを聞き、会社の情報は公的データとAIで埋める。その考え方と手順。

こんにちは、TAIONの塚越です。

今回は、取引先の情報、つまり会社の情報をTAIONがどう持っているかについて書きます。ツールの設定の話ではありません。何を相手に聞き、何をこちらで調べるか。その線の引き方の話です。

調べればわかることは、聞かない

問い合わせフォームで、従業員数や業種をたずねる会社は少なくありません。TAIONでは、調べればわかることは聞かないと決めました。

理由は二つあります。ひとつは、入力欄が増えるほど送ってくれる人が減ること。もうひとつは、自己申告の数字がどうしてもばらつくことです。「約100名」と書く人もいれば、グループ全体の「500名」を書く人もいます。

だからフォームで聞くのは、会社名、部署、役職のように、本人にしかわからないことだけにしています。会社そのものの情報は、問い合わせをいただいたあとに、AIが公的なデータをもとに調べて埋めます。

フォームで聞くことと、あとで調べること

持つのは、売り方が変わる項目だけ

では、会社の情報として何を持つのか。基準にしたのは、「その値が違ったら、売り方が変わるか」でした。

規模が違えば、提案の中身も価格帯も変わります。業種が違えば、響く事例が違う。上場しているかどうかで、稟議にかかる時間が変わる。そして、資金を調達したばかりで人が増えている会社は、新しい仕組みへの投資にも前向きです。規模、業種、上場区分、成長の兆し。この四つを軸にしています。

業種は、統計に使われる日本標準産業分類ではなく、営業の現場で扱いやすい25の分類を自分でつくりました。迷ったときは「主に何で売上を立てている会社か」で、ひとつだけ選びます。

HubSpotの会社の項目。業種や上場区分を足した

こうした軸で言い表した「売りたい会社の姿」を、ICP(理想の顧客像)と呼んでいます。

従業員数は、二つの数字を分けて持つ

会社のサイトに書かれている従業員数と、実際に社会保険に入っている人の数。この二つは、食い違っていることがよくあります。サイトの数字がグループ全体のものだったり、業務委託の人まで数えていたり、数年前から更新されていなかったりするからです。

そこでTAIONでは、両方を別々に持つことにしました。会社が自ら公開している「公称の従業員数」と、厚生年金・健康保険に入っている「社保加入者数」です。二つの数字がずれていること自体が、その会社を知る手がかりになります。

社保加入者数は、日本年金機構の「適用事業所検索」で、無料で調べられます。気をつけたいのは、会社名で検索しないこと。似た名前の会社がずらりと並び、どれが目当ての会社なのか見分けがつかなくなります。先に法人番号を調べておき、その番号で検索するのが確実です。法人番号とは、国税庁が会社ごとに振っている13桁の番号で、こちらも誰でも調べられます。

日本年金機構の「適用事業所検索」。法人番号で検索する

どの数字を使うかを、先に決めておく

とはいえ、分析のときには従業員数をひとつの値にまとめたい。そこで、どの数字を採るかの順番を決めました。

いちばん優先するのは、ご本人や担当の方から直接うかがった数です。それがなければ、1年以内に書かれた公称の数字。公称が見当たらないか古いときは、社保加入者数を使います。どれもなければ空欄のまま。推測で埋めることはしません。

従業員数を決める順番

二つの数字の開き方でも判断します。公称が社保加入者数の半分にも満たなければ、公称のほうが古くなっているのかもしれません。その場合は社保加入者数を採ります。反対に、公称が社保加入者数の2倍を超えていれば、グループ全体の数か、業務委託の方が多い会社だと考えられます。そのときは公称を採り、差があったことを記録しておきます。

どの数字を使ったのかは、かならず項目に残します。あわせて、すべての数字に「どこで、いつ調べたか」を書き添えています。会社の情報は少しずつ変わっていくものです。日付がなければ、その数字がもう古いのかどうかさえ判断できません。

HubSpotに「どの数字を使ったか」を残す項目をつくった

AIで埋める手順と、かかる費用

まず法人番号で会社を特定し、その番号を手がかりに、ほかの情報をたどっていきます。

①法人番号:国税庁の法人番号公表サイトで、会社名と所在地から特定します。候補が絞りきれないときは、人の目で確かめます。

②社保加入者数:日本年金機構の検索で、法人番号から調べます。

③資本金と設立:経済産業省のgBizINFOから。

④上場区分:日本取引所グループの上場会社一覧から。

⑤業種と資金調達:AIが会社のサイトやプレスリリースを読んで判断します。

法人番号を起点に、公的データとAIで埋める

①から④は公的なデータなので、費用はかかりません。AIを使うのは⑤だけです。ページの取得はプログラムで行い、判断にはいちばん安いモデルを使うので、自動にしても1社あたり1円前後ですみます。有料の企業データベースは契約せず、まずは公的なデータとAIだけではじめました。

そのうえで、守っていることが三つあります。

ひとつは、わからないものを推測で埋めないこと。わからなければ空欄にして、「未確認」と書いておきます。二つめは、公的なデータからは会社(法人)の情報だけを扱い、個人の情報は書き写さないこと。三つめは、各サイトの利用条件を守ること。問い合わせをいただいた会社を一社ずつ調べるだけで、まとめて大量に取得することはしません。

この情報があると、何が変わるか

まず、理想の顧客像を数字で語れるようになります。受注した会社の業種、社保加入者数の帯、成長の段階。それらを集計すれば、どんな会社に選ばれているのかが輪郭を持ちはじめます。

声をかける時期の見当もつきます。資金を調達したあと、人が増えている会社から順に声をかけていけばいい。

それから、広告やイベントを、件数ではなく質で見られるようになります。来てくださった会社のうち、理想の顧客像に重なるのは何割か。その割合で比べられるようになるのです。

おわりに

どれも地味な決めごとですが、データが増えてから効いてくるのは、きっとこういうところだと思っています。

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